2012年2月8日水曜日

身の回りの全てが、スマホ一台で操作可能に - IBTimes:世界の最新ビジネスニュース

 デジタル機器の無線接続化が、無線LANモジュールの進化によってまた一段と加速している。

 現在、無線LAN機能は、各機器に無線LANモジュールを搭載することでその利用を可能にしており、USBやSDIOなどのインターフェースで無線利用したい機器と接続するか、ノートパソコンやスマートフォンに内蔵されている。しかし、ただ単純に無線LANモジュールを搭載するだけで、どんな物でも無線LANを利用することができる訳ではない。そこには無線化を計画する開発者にとって、様々な壁が存在しているのである。

 身の回りにある電化製品にはマイコン、つまりプログラム(命令)を実行するための電子部品が内蔵されているが、各電化製品に搭載されているマイコンは、各機能にとって最低限の性能しかなく、無線LAN機能を利用するのに十分な性能を有していない。例えばエアコンに搭載されているマイコンには、温度管理等に必要なだけの性能しかなく、無線LAN機能を搭載するには不十分である。更に、煩雑な無線LANデバイスドライバの作成やアンテナ設計や電波法の認証等、無線特有の技術や手続きが必要であるなど、開発に多大なコストや時間、技術を要し、企業にとっては大きな負担となる。これが、無線LAN機能導入の大きな障壁となっているのだ。

 しかし、昨年ローム が販売を開始した無線LANモジュールが、その負担を一手に引き受けた。この新製品には、基本的な無線LAN機能のみならず、認証や暗号化といった従来ならホスト側に内蔵される機能も全てモジュール側に組み込まれている。この新製品を利用すれば、ネットワーク処理の全てをモジュール任せに出来るため、無線LANデバイスドライバの開発が不要となる。さらに、単純な接続部を持つデバイスとすることで、あらゆるマイコンへの接続が簡易なものとなっている。加えて通信速度は機器に組み込むにも十分な性能を有しているという。先にあげた障壁部分を全てモジュール側で処理することができる為、無線LAN機能を搭載したい機器に「組み込めば良いだけ」だという。

 この無線LANモジュールのICとファームウェア(コンピューターシステムを制御するためのソフトウェア)を両方とも製作しているのは日本国内ではローム一社。全世界をみても、米国のGainSpan社のみというから、まさに唯一無二の製品といえる。また、ロームと東亜無線電機との協業で開発キットも販売。1個単位からの購入が可能であり、価格も2万円程度と個人で入手可能である。コストや技術などの面から無線LAN機能の搭載を断念していた各企業の開発担当者が手軽に入手でき、自社製品への組み込みを検討しやすいということだ。さらに、ICからモジュールまで一貫して内製しているロームだからこそ、ハードからソフトまで充実したサポートが受けられる点も、企業開発者にとっては導入検討への後� ��しをするものとなるであろう。

 パソコン市場を中心に普及してきた無線LANであるが、この市場の拡大、強いてはロームの新製品のような無線LANモジュールが切望される背景には、スマートフォンの爆発的普及がある。以前から、各個人が持つ端末をコントローラ/リモコンとして利用できる電化製品の商品化が模索されていた。皆が持つ端末から簡単に各電化製品を操作出来れば、その利便性が一気に高まるためだ。スマートフォンであれば、アプリケーションを開発するだけで良い。そのアプリケーションも、JAVAを扱えれば開発可能なレベルであるというから、開発担当者にとって障壁はないも同然であろう。となれば、あらゆる機器への無線LAN機能の搭載が加速するのは、もはや自明のことではないだろうか。

 産業機器への搭載はもちろん、おおよそ機器であれば、白物家電や健康器具などにも容易に無線LAN搭載が可能であり、それがタブレット端末や各自のスマートフォンで操作が可能となる。近い将来、想像もしなかった物にも無線LANが搭載され驚かせてくれるかもしれない。どんな物に搭載され、我々の生活がどう変化するのか、非常に楽しみである。

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