2012年4月20日金曜日

固定資産税は何年さかのぼって修正できますか? - BIGLOBEなんでも相談室


1.まず、最近の課税誤りの還付について、横浜市中区HPを見て下さい。平成18年4月27日の「中区における固定資産税・都市計画税の課税誤りについて」に、詳細な経緯が記載されています。

 この発表文の中で、平成17年度に課税誤りがあり、前年分の誤った税額を還付するとしています。

 これは173人の納税者に対する課税誤りであり、横浜市としても記者発表せざるをえなかったのでしょうが、小規模なケースにおける課税誤りによる還付は、公表せずとも普通に行われています。
 
 次に、福岡市の事例ですが、平成16年6月2日付で「大規模複合用途建物の固定資産税評価誤りについて」を記者発表しています(下記、参考URLに福岡市HPから貼っておきます)。

 この事例では、還付額は総額1億3000万円になるそうです。
 問題なのは、不当に取りすぎた税金を返却すればいいだけではなく、利子相当の還付加算金も合わせて納税者に還付する必要があるということです。
 還付加算金の利率は年7.3%(地方税法17条の4)ですから、もし、この誤課税が1年前のものであれば、還付加算金は約1000万円になるのです。
 還付加算金は無駄な(=といっても必要な)公金支出ですから、監査の際には無駄使いを指摘されます。

2.さて、他のご回答を読んで、どうも話がかみ合わないと感じていたのですが…。

 今回のケースは町税務課による「現況地目」の認定ミス、すなわち、住宅用地の特例措置を適用しなかった(=先の横浜市のケース)と同様の明白な課税誤りなので、町長は、「価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては、"直ちに"、(中略)決定された価格等を修正して、これを固定資産課税台帳に登録しなければならない。」(地方税法417条)のです。


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 なぜ、「直ちに」と念を押しているのかというのは、町税務課の評価ミスに起因した課税誤りであり、速やかに、納めすぎの税金を返還しなければならないのはもちろんですが、1日遅れればそれだけ還付加算金が加算されるので、無駄な公金支出を少しでも減らそうという意図があるからです。

 法律の条文を読むときに、末尾が「…できる。」とあれば、裁量行為も認められますが、地方税法417条は「…しなければならない。」と命令しているのです。ここには、課税庁の裁量が入る余地など全くありません。

 例えば、評価方法が正しくても「どうも評価額が高いようだ」と思う場合は、地方税法432条に規定するように固 定資産評価審査委員会に価格について審査申し出を行いますし、価格以外の事項であれば、市町村長に対して行政不服審査法に基づく不服申し立てをすることになります(=平成12年の地方税法改正による)。
 これに関しては、通知書を受け取ってから60日間というように期間が制限されていますから、これ以外の期間では審査申し出等はできません。

 また、「嘆願書」というご意見もありましたが、課税権者である市町村長が一方的に評価額を決めて課税する固定資産税において、町税務課の評価ミスに起因する課税誤りを正すために、納税者が頭を下げて"お願い"をすることはないと思います(=先の横浜市の事例でも、謝罪しているのは横浜市である)。

 単なる「価格」に関する審査申し出(=申し出の期限あり)と、課税誤り(=直ちに対応が必要)とは明確に区別するべきです。

 今回のケースは明白な課税誤りなので、「自らの評価ミスによって課税誤りを招いた町税務課に対して、課税誤りを指摘し"厳し� ��"教えてあげる」ということです。だから、期限などないのです。


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 納税者から指摘されたら、課税誤りか否かを即座に調査し、課税誤りであれば、"直ちに"評価額を修正し過誤納金を納税者に返還するのは地方税法417条の規定からも当然のことです。
 このとき、町税務課が「審査申し出期間は過ぎたから」と言い訳をすれば、来年までの還付加算金を無駄に支出することになるのです(=税金の無駄使い)。

 だから、良識のある市町村は、納税者から課税誤りを指摘されたら、速やかに確認調査を行います(=もちろん、納税者の勘違いもあるだろうから、全てが課税誤りとして処理されるわけではない)。
 固定資産税は、大量の土地、家屋を短期間に少ない職員で評価するため、課税誤りが少なくないのを経験的に知っているからです。
 調査の結果、課税誤りであることがわかれば、速やかに評価額を修正し、過誤納金を還付します(=補正予算を議会に提出することもある)。そうしないと、還付加算金という無駄な支出が増えていくからです。

3.「要綱」については、No.18の回答で省略せずに、「税金の支出を伴うので、予算・決算の承認には議会の議決が必要です。」と書けばよかったようです。
 要するに、市町村長が独断で公金の支出を行っているわけではないということを言いたかったのですが、この部分だけ"一人歩き"して行ったようです。

 ところで、地方税法17条の5第2項では還付期間は5年間ですが、民法703条の不当利得による返還の場合、債権の消滅時効である10年間の請求が可能です(民法167条1項)。

 大阪高裁平成3年5月31日判決で、「現況が畑である土地を雑種地と認定して固定資産税を賦課した違法な処分」に対して、「市町村長の認定に重大かつ明白な誤りがあり課税処分自体が無効であると認められる場合には、一般の正義公平の原則に基づき、一般法たる民法の不当利得として返還を求めることができる。」という判断を示しました(=弘前大「人文社会論叢第11� �」から抜粋)。


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 地方税法による税金の還付であれ、「過誤納金の返還要綱」に基づくものであれ、民法の不当利得によるものであれ、納めすぎた税金が全額返還されれば、納税者にとっては、その理由はどうでもいいのです。しかし、その原資は、還付加算金を含めて全て税金からです。

4.さて、ここからは、質問文の本題である「不動産取得税の課税誤りは是正できるか」について、書いていきます。

 不動産取得税は県税なので、課税誤りを指摘するのも、県知事に対して行います。
 ただし、不動産取得税の課税は、市町村長が評価した「固定資産税評価額」を基に計算するので、評価人と課税権者が異なるという矛盾が生じているのです。

 県は、市町村長に対して「固定資産税の課税標準となるべき価格の決定について助言をする」(地方税法73条の21)ことはできますが、あくまで"助言"に過ぎず、この価格にせよと指導することはできません。
 固定資産税の課税権者は市町村長なので、県が固定資産税評価額に干渉するのは越権行為となるおそれがあります。固定資産税に関する裁判の被告になるのは、市町村長(あるいは市町村の固定資産評価審査委員会)であり、県は責任が取れないからです。
 ですから、県から市町村に対して、固定資産税評価額の修正をしてもらおうというのは、あまり期待できないと思います。

 では、どうするかですが、「地目の変換その他特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いときは、この限りでない。」(地方税法73条の21)の規定を用いて、今年度の町の評価証明書を基に課税誤りであることを指摘し、県に不動産取得税を是正してもらう方法が考えられます。


 1年間で現況山林が現況宅地に地目変更されることはあっても、現況宅地が現況山林に変わることは不可能です(=木を移植しただけなら通常は庭であり、山林とは認定できない)。今回の町が行った地目認定の変更が不自然であることは、県の税務担当者にも容易にわかると思います。
 県としても、1年間も放置して、1年分の還付加算金を支払うことは避けたいと思うでしょうから、是正してもらえる可能性があります。

 質問者さんには固定資産税の納め過ぎはないのですから、町に対しては還付請求をすることはできないのですが、町は本来なら、前の土地所有者に対して、5年間分の過誤納金に還付加算金を加算して返還する義務があります。

 前の土地所有者に還付したか町に確認されて、もし、還付していなければ、前の土地所有者に連絡して還付してもらうよう働きかけることが考えられます。
 その結果として、過去の土地課税台帳も正しい評価額に修正されます(=電算システムになっているので、過去の評価額を修正しないと税額の修正は不可能である)。

 理論的には、ここまでの説明の通りなのですが、県の税務担当者や町税務課が全く理解してくれなければ、最後は行政訴訟に打って出るしかないかもしれません。
 行政訴訟は、最近、納税者が勝訴する判決が出るようになりました。
 今回の質問文のケースは、納税者が完勝できる案件だと思いますが、油断をされずにご対応されますよう祈念いたします。

参考URL:

投稿日時 - 2006-06-24 21:09:09



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